文化・芸術

映像に囲まれる。追悼特別展「高倉健」@東京ステーションギャラリー



高倉健さんの全205本の映画出演作品の映像をひたすら見る、追悼特別展「高倉健」。
私はこういう展覧会をはじめて観ました。

会場は東京ステーションギャラリー。まずはエレベーターで3階へ。ドアが開くと、街の喧騒のような音が聞こえてきた。黒いカーテンを開けると、映画の予告編映像が。え、こんなところにも!

そこかしこにたたずみ、思い思いの方向を見つめる観覧客。なんだか自分が映像の中に入っているような感覚…。

「こう来たか!」と、ちょっと興奮しました。
ここはあまり知識を入れないで体験すると、より楽しめると思います。

横尾忠則氏の滝の写真を使ったインスタレーションは、事前に画像を見ていて大変興味があったのですが、高所恐怖症な私は、入り口に立っただけで倒れそうになり、じっくり見られず。残念。

2階へ下り、赤レンガの壁の展示室へ。

液晶モニタやプロジェクターがところどころに掲げられ、出演作から編集された映像を、デビュー時から時系列で見ていくという仕掛けになっています。

さまざまな音、さまさまな映像がひしめく展示会場で、ひとつのモニタに集中しながら観ていく。これもなんだか新鮮な仕掛け。

古い映画のポスターなどもそこかしこに。昭和ムード満点な映像とポスター、そして赤レンガの壁。いい雰囲気です。

個人的な感想ですが、デビュー時の健さんはその立ち姿が初々しすぎる! 演技しているのかわからない無表情だったりする。そして、おでこにシワが刻まれるあたりからが、とてもいいなぁと思いました。

一時期、日本刀で人を斬るシーンがやたらとありまして、「50年前の日本はこんな世界だったのか?」と、一瞬の錯覚しました(笑)

2階の入り口には、映像をすべて見るのに2時間かかると書いてありました。

共演者にあんな人やこんな人がいるのを発見したり、昭和のファッションや風俗をウォッチするのも楽しく、特に健さんファンでなくても意外とあきません。結果、ほぼ全部見ました。

2時間以上の時間と、体力に余裕を持って観に行くのがおすすめです。

日時指定の完全予約制で、ゆったりと快適に観られるのもうれしいポイント。2017年1月15日まで。



追悼特別展「高倉健」@東京ステーションギャラリー

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「これは写真か?」アンドレアス・グルスキー展@国立新美術館

「できればこの目で見てみたい」と、あこがれていた「カミオカンデ」のポスターで知った、アンドレアス・グルスキー展。国立新美術館に観に行ってきました。

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展覧会のサイトを見たら、私のツボにぐいぐいとはまる写真がいろいろで、かなり期待をし、オーディオガイドまで借りてしまいました。また、休憩室にあった図録を読んだりもして分かったのですが、作品はデジタルでかなり作りこみがされているとのこと。

ちょっと気になるのを消すとかいうレベルでなく、川の対岸の建物をごっそり消し去ったり、カミオカンデの写真にしたって、右下のボートに乗った人は後から付け足されたということです。

右下に小さな人がいることで、全体のスケール感が分かるのですが、いや待てよ、そのスケール感でさえ、真実であるのか分からない。何がどこまで本当なのだろうか? …と猜疑心を持って観ると、ある意味、この現代アートをより楽しめるかもしれません。

見終わって、ロビーのカフェにて「うーん、これって写真なのか?」と悩んでいたら、ちらしのコピーに「これは写真か?」と書いてありました(笑)。でも、フィルムで撮って、デジタル処理して、またフィルムに焼き付けたりもしているとのことで、そこは写真家としてのこだわりなのかも。

ということで、気になるアーティストが一人増えてうれしい。

アンドレアス・グルスキー展は、9月16日まで。

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KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン@三菱一号館美術館

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海を渡った浮世絵が欧米の芸術家に影響を与えたことはよく知られていますが、同じく布に模様を染め付けるために使われてきた「型紙(かたがみ)」も、浮世絵同様に影響を与えたことが研究によって分かってきた(と、図録には書いてあった)とのことで企画された展覧会。

この型紙というもの、はじめて見ました。英語だと「Paper Stencil」で、こっちのほうがなんかピンときやすい。柿渋で加工して補強した紙に、時にめまいがするような繊細で細密な模様が彫り抜かれています。ビデオ上映を見たら、1ミリくらいの円模様をくり抜くのに、まずは専用の彫刻刀を職人さんが作ってました。刀部分は半円で、それをぷすっと紙に刺し、くりっとまわして円に。まさに職人技! といった手際のよさ。

日本からはじまり、アメリカ、ヨーロッパ各国のデザインや工芸品などが、関連する型紙とともに展示。その数400点以上で、文様、模様好きとしては、なかなか見ごたえがありました。「第3章 型紙とアール・ヌーボー」のコーナーにはルネ・ラリックなども示されていたのですが、やはりラリックのジュエリー作品の自然礼賛ぶりと完成度の高さは、いつ見ても感動ものです…。

ところで、三菱一号館美術館は洋館好きにも見ごたえありです。レンガ造りの三菱一号館美術館はジョサイア・コンドルの設計で、1894年竣工の建物を可能な限り忠実に復元したもの。これが当時のものかは分かりませんが、木床には無数のへこみがあり、歴史を感じさせます。展示室は靴が響きやすいとサイトに注意書きがあったのですが、確かにすごく響く(偏頭痛ぎみの頭にはつらい…)。

併設のCafe 1849は「明治期の銀行営業室の空間を出来る限り忠実に復元したミュージアムカフェ」になっていて、明治の洋館ムードの中ランチやお茶もできるし、美術館の2~3階の廊下から見下ろせる一号館広場と呼ばれる緑あふれる庭もあり、丸の内のブリックスクエアってこんな気持ちよいスペースだったのねと再認識。

「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」は5/27まで。

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「酒井抱一と江戸琳派の全貌」@千葉市美術館

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雨の中、行ってきました。日本画の展覧会は久しぶりに見ましたけど酒井抱一は、どうも波長が合うみたいで、はっとするような作品にいくつか出会えました。シンプルな作品の構図、余白とか、「たらし込み」という技法を使った枝や葉の表現が印象的でした(異なる色をにじませて、もやっとした感じ)。

それにしても、掛け軸や短冊といった、タテ位置の作品が気になってしょうがない。iPhoneで写真を撮るようになって、ヨコよりもタテ位置構図についてよく考えるようになったからでしょうか…。今週末13日(日)まで。この後は、京都の細見美術館にも巡回するようです。

千葉市美術館

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諏訪敦「どうせなにもみえない」@諏訪市美術館

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長野県の諏訪市美術館で行われている諏訪敦さんの絵画作品展「どうせなにも見えない」。8月6日にトークイベントが行われるということで、参加してきました。以前、川口市で行われたトークイベントが楽しかったので、これは行かないと! という感じ。

トークイベントは参加者からの質問に諏訪さんが答える形式。今回は事前にメールで質問を受け付けていました。「何か質問のある人ー」と行っても、日本の場合はしーんとなってしまうことが多いので、このような形式にしているそうです。業界人や「美術愛好家」ではない私のような「一般人」にも分りやすく話をしてくれ、アートや美をはじめとして、さまざまなものの見方や考え方にじわりと影響されます。

といってもシリアスな作風とはうらはらに、トークでは軽妙な雰囲気をかもしだそうとされているところにサービス精神(?)を感じます。…このギャップがいいのでしょうねぇ。

展覧会のメインは肖像画。自画像もありました。先月の「日曜美術館」では、対象について徹底的に取材を行う諏訪さんにジャーナリスト魂を感じましたが、自画像を描く時の心境はいつものそれとは違うのか、ちょっと聞いてみたかったです。

作品展は9月4日まで。
- 諏訪市美術館
- 画家・諏訪敦の公式ブログ

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STORY OF… カルティエ クリエイション~めぐり逢う美の記憶

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東京国立博物館の表慶館で行われている「STORY OF… カルティエ クリエイション~めぐり逢う美の記憶」を見に上野へ。

「宝飾品にはその一つ一つに歴史と物語があります」ということで、カルティエ作品のストーリーをコンセプトにしたこの展示、日仏交流150周年記念として、カルティエの約250点の宝飾品が、デザイナーの吉岡徳仁監修により紹介されているのものですが、実は失礼ながら「吉岡徳仁って誰?」状態でした。プロフィールをみて振り返ってみると、嫌みにならないシンプル&スタイリッシュな展示方法は隙がないというか、一貫した美意識が感じられて心地よかったです、

昼過ぎの東京国立博物館、阿修羅展は入場30分待ちなどという看板が出ていたが、表慶館の前はがらんとしていました。しかし中はけっこうな人がいたので、まずはいちばん手前の(いちばん混んでいると思われる)ルームAをスキップ。とにかく会場内が暗くて黒くて、なかなか目が慣れなくて、ダイアモンドはキランキランしているし、ちょっとふわふわとした気分をしばらく味わう。

表慶館をフルに利用したこの展示、さて、いちばん最初の部屋に戻ったら、さきほどより混雑しており(苦笑)。しかしルームAに展示されていた作品がいちばん印象にのこりました。ガーランドスタイルのティアラの精細さとか、スターが出ているサファイアのなんともいえない透明感を持ったブルーが…。ショーケースの前の行列は折り返して2列になってましたが、そこに並んでも真っ正面で見る価値はありました。作品とスタイリッシュな展示の両方が楽しめます。5/31まで。

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「存在の神秘 磯江毅遺作展」

「美術手帖」3月号、「アートファンのための超整理! 日本のアーティスト ガイド&マップ」に、諏訪敦が寄稿していて知った「存在の神秘 磯江毅遺作展」へ。東京美術倶楽部の「東美アートフェア春」の特別企画(今日まで)。

東京美術倶楽部って何? と調べたところ、

東京を中心に活動する有力美術商約500名によって組織された東京美術商協同組合と、その組合員が主な株主である株式会社東京美術倶楽部の総称であり、美術業界最大のグループです。

とのこと。そんなものがあるんですね。立派な建物でした。

寄稿文の中で「リアリズム絵画」という言葉が使われていますが、写真のようにリアルな絵画に、私は画家のマニアックな情熱というか、執念のようなものを感じてしまうのです。

最初はちょっと離れてみていたのですが、ふと近くに寄って見ると、寄って見れば見るほどリアルで精密。気を確かに持っていないと、あちら側の世界にすいこまれてしまいそうな感じ。どっちの世界がリアルなんだか分からなくなる感覚におちいってしまった…。

磯江毅は19歳で単身スペインに渡り、マドリードで30年間制作活動を続け、2007年に53歳で亡くなられたとのこと。寡作で、何年もかけて描いた絵を破棄してしまうこともあったとか。

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マイケル・ケンナ作品展と京橋散策

土曜日は雨なのかと思っていたのに、コートがいらないほどのぽかぽか陽気。だったら今日からでかけてしまえば良かった(個人的に3連休なもので)。

京橋のZEIT-FOTO SALONにマイケル・ケンナの作品展「モン・サン・ミッシェル」を見に行く。簡素で小さな四角い部屋にぐるっとオリジナルプリントが陳列されている。1点20万円より。ちょっと欲しいけどねぇ。カレンダーでがまんしておきます。

サロンで写真集を買おうと思っていたのだけれど「Japan」は紙が好みでなく、マットな紙で内容的にもかなり気に入った「Hokkaido」は、オリジナルプリント付き138000円のしかなかったのであきらめる。私が冬の北海道に行きたいのは、こんな雪の北海道をこの目で見てみたいからなのだ…。作品展は3/14まで。

サロンはブリジストン美術館の裏にある。美術館のカフェで食事しようと思っていたのに、サンドウィッチは売り切れとのことで、中央通りを有楽町方面へ歩く。国立近代美術館のフィルムセンターはここにあったのかーとか、明治屋のビルがクラシックでステキ、とか、コートを脱いで散歩していると「PEN STATION」という看板を発見。ペンステーションといえば、ペンシルバニア・ステーションの略だからPenn Sta.だよね、と思ったものの、PILOTの看板が目に入り「あ〜〜」と納得。

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場所の割には良心的なお値段で、アイスカフェラテといろんなハムとソーセージのサンドをいただく。カフェから2階のミュージアムへ。蒔絵の万年筆とかインクとか、歴代の製品などが展示されている。万年筆の修理受付もあったので、長年お気に入りのボールペンとシャープペンシルが1本になった「2+1」のキャップがないか聞いてみると、倉庫を探して持ってきてくれた。うれしい! 105円。数ヶ月前にキャップをなくしてしまい、シャープペンシルのノックができなくて苦労していたのです。微妙にサイズがゆるかったけど、テープを貼ってフィットさせました。今日はいい日だ。

再び中央通り。INAXブックストアに入り京都関係のガイドブックなどを買い、隣にギャラリーがあったので入ると、2階で「デザイン満開 九州列車の旅」なる展示が。JR九州の列車、かなりデザイン的に特殊なので驚いた。自転車を乗せられる「あそ」とか、天然木を使ったインテリアとか、独特のファブリックとか、ナチュラルとモダンがミックス。がぜん九州鉄道旅行がしたくなってきた。思わずブックレットを買ってしまいました。1575円。2/21まで。

もうひとつ。備長炭ショップのGinza Tanagokoroは、炭を生けたようなインテリアがステキだった。空気もキレイになりそう…。2階にはカフェ、地下にはカウンター8席の禁煙のバーがある。バーなのに禁煙。備長炭ということでちょっと納得です。

ということで、京橋〜日本橋あたり、もっと発掘してみようと思った一日でした。

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アンドリュー・ワイエス 創造への道程(みち)

アンドリュー・ワイエスを見に、Bunkamuraザ・ミュージアムへ。原宿駅から歩く。歩道橋の端っこに、黄色いいちょうの葉がたまっている。見上げると冬の午後の日差しに、いちょうの木が黄金色に輝いていました。

ワイエスといえば、「ヘルガ」と「クリスティーナの世界」(今回初めて絵の名前を知りました。そして、描かれた女性は絶望してふせっているのではなく、体が不自由で這って移動している姿で、ワイエスがそれにバイタリティを感じて描いたことも…)が有名ですが、今回行く気になったのはポスターなどにフィーチャーされている緻密な岩。ものすごくスケールの大きそうな絵なのですが、実物は思ったよりも小さな絵だった。

ところで、「クリスティーナの世界」完成版はない。素描や水彩画が何点か並んで、完成版は小さなパネル(本物はニューヨークのMoMAにある。貸してもらえなかったのか。円高だし、年末年始は9連休だし、ニューヨークまで見に行くのもいいかな…なんて)。ほかのいくつかの絵もそんな感じで「?」と思ってチケットを見たら、サブタイトルが「創造への道程(みち)」。本展は「…創作活動のプロセスに焦点をあてることで…」という趣旨でした。はあ、なるほど。ちょっと残念。

インタビューのビデオで「想像力を刺激するものを見つけたら、即座に描く」というようなことをおっしゃってました。91歳のいまでも毎日描いているそうです。見習わないと。

ワイエスは焦げ茶にブルーの配色がお気に入りなのだとか。私も好きです。23日まで。

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対決

日曜日は上野の国立東京博物館に「対決」を見に行く。かなりの人手にくらくら。屏風などは大きいので人越しにまあまあ見られますが、茶碗などの小さい作品は、人を押し分けて見ないと見えません。

後でまた来るか、法隆寺宝物館にあるカフェでランチでも、と行ったら長蛇の列。アジア館にあるレストランも同様。しょうがないので、こんなときのために持ち歩いているSoy Joyを本館地下の休憩エリアで食べました。もぐもぐ。

この日は庭園にあるお茶室の見学ツアーが目当てでして、整理券が配られる1時半の10分前に集合場所に行ったら、こちらも長蛇の列ですでに定員オーバー。しくしく。

割合静かな常設コーナーをゆっくり見て、再び「対決」へ。やっぱり混んでました。なんやかんや見たけど、展示会場の最後の作品、横山大観のシンプルかつダイナミックな「雲中富士図屏風」のインパクトが強すぎて、もうそれしか覚えてないって感じ。

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